【ロゴ制作】伊勢旭:旭酒造株式会社様
千巻印刷は、旭酒造株式会社様の企業ロゴマークのリニューアル業務をさせていただきました。
創業明治八年。三重県はお伊勢参りの玄関口、明和町の地酒「伊勢旭」を製造する伝統ある酒造です。
ロゴリニューアルの経緯
今回のロゴリニューアルのご依頼をいただいた経緯を説明します。旭酒造株式会社のご担当者様から「日本酒の海外での人気の高まりを受けて、我が社でも外国からの観光客向けのインバウンド需要を見越した取り組みをしたい」というお話をいただきました。その時にご提案したのが、翻訳機能付きのウェブサイトリニューアルと、ロゴマークのリニューアルでした。
ロゴの製作プロセス
リニューアルのコンセプト
ウェブサイトは、外国の方にもビジュアル的に直感的にわかりやすく、観光客向けとして、スマホ用のレスポンシブデザイン対応が求められました。それはロゴマークにも同じことが言えます。
- 従来の旭の伝統ある書き文字のイメージを損なわない
- 伊勢旭を印象付ける
- 各媒体(WEBサイト・ラベル・印刷物(封筒・チラシ等)に使用しても大きさに関係なく分かりやすいデザイン)
- 海外観光客もターゲットに考える
上記がロゴに込められたコンセプトですが、1を除いては、「見てわかりやすく、どのような媒体(印刷物・PC・スマホ)にも対応でき、海外の観光客にも対応できるという、ウェブサイトのコンセプトと一致しています。
代表の想い
その中にあって、
1.従来の旭の伝統ある書き文字のイメージを損なわない。
これは当主である西山代表の強い希望でした。
酒樽やお酒のラベルに用いられている看板商品「伊勢旭」の文字。旭酒造には決まった企業ロゴマークはなかったが、伝統的にこのビジュアルが酒蔵の看板を担ってきた(図参照)
また、西山代表は、書き文字のバックにある波と太陽も伊勢旭のイメージに欠かすことができないとおっしゃいました。
コンセプトを具体化
そこでまず、4つのコンセプトを具体化する作業に入りました。
コンセプト1…書き文字をそのまま使用
コンセプト2…伊勢旭という書き文字の背後をシンプルに
コンセプト3…コンセプト2同様に全体的にシンプルにまとめ、各媒体どの空間でも視認できるように
コンセプト4…ビジュアル的にわかりやすく、かつ英語も併記する
書き文字と、太陽と波という和風のモチーフをシンプルにまとめるという、複雑なものをシンプルに見せるという一見矛盾した作業ですが、外国の文化にも浸透している「浮世絵」の代表的な絵をモチーフにすることによってそれが解決されました。
ロゴ完成!
完成したロゴが以下のロゴになります。
ロゴマークを円形にして太陽そのもののイメージとし、その円形に沿うように配置でき、かつ奥行きも表現できるところから、葛飾北斎の富嶽三十六景の「神奈川沖波裏」の波をモチーフにしました。この浮世絵の波の構図を利用することで、太陽の円形に沿う統一感のある波をデザインすることができ、かつ奥行きを持たせることによって前面の書き文字の旭を立たせることができました。このようにして複雑な情報をシンプルにまとめ、旭の書き文字を立たせることができました。
後は、看板商品「伊勢旭」と社名と創業年を英語表記し、外国でも馴染みのある波のイメージとともに全てのコンセプトを備えたロゴが完成しました。
最後に
ロゴマークはカラーとモノクロ(バックが濃い場合は白抜き)の2パターンありますが、西山代表は「メインではモノクロを使用していく」とおっしゃいました。理由は「社員の意見として、その方がより一層色んな媒体に使いやすそうだから」ということでした。
書き文字にこだわる「伝統を重視する心」と、社員の意見を取り入れる「時代に適応する柔軟さ」に、このロゴマークとともに末長く繁栄する企業の未来を感じました。